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先生の恋文
自称ダンディ文豪(自称)の戯(ざ)れ事: 「トラバでボケましょう 2008 夏~秋 レベル10」お題発表ッス!に TrackBack!

さてさて、無事10回を迎えられたトラバでボケましょう 2008ですが、お題は
「恋文」(ラヴレター)ッス!!!

だそうです。



......えーと。

これはモテない私に対する「トドメの一撃」でしょうか?

「トド黒ちゃんののど飴」で無い事は確かだと思いますが、あまりにも語呂があっていないので言い出しっぺの自分自身でもどうしようかと悩んでしまいました。

現在 午前1:00を杉田かおるです。もとい、過ぎたところです。
今回の「極秘計画資料室 [Jemini's Blog 4th edition]」は、33回転のテーブルの上に78回転のディスクをのせてお送りしております。

みなさまどうぞ、ごゆっくりおくつろぎ下さいませ~





それでは本文、どうぞ!



Title : 先生の恋文(Love Letter)

これは何ですか?という僕の質問に、先生は軽く微笑むと結びかけのネクタイをほどいた。話しながらだと上手くいかないのだろうか?

「恋文...だね。」

「恋文!?ら、ラブレター、ですか?」

思わず声が大きくなってしまった。
僕の慌てぶりをどう思ったのか、先生はにこやかな表情を崩さずに付け加えた。

「それも、歴史に名を残して良いぐらいの名文だよ。」



先生の事務所はポプラ並木を抜けた采女町のビルヂングの2階にある。
そのビルは真新しい洋風建築で、ハイカラな先生にふさわしい空気を漂わせている。
都会の真ん中で、決して閑静な、とは言えない環境ではあるけれども周辺の便は悪くなく、今日も先生は何かの用事で出かけようとしていた所らしい。

僕はいつものように先生の事務所に遊びに来たわけだけれど、先生のデスクの上にあった一通の封書が気になり、冒頭の質問になった。というわけだ。



その手紙は少し不思議な雰囲気を持っていた。

いくつもの書類を広げてもまだ余裕があるマホガニー製のデスクと、先生お気に入りのライト兄弟のライトフライヤー号を模したペーパーウェイトの間に、"それ"は挟まれていた。

まっさらの、そして真っ白な封書。
切手が貼っていないどころか郵便番号も、住所も、差出人の名前さえも書いていない。
唯一先生の名前が宛先として書いてあるものの、その字もまるで教科書の活字のようで、文字に表情がない。

こんなラブレターなんて、あるのだろうか?


「奥様が書かれたものなんですか?」

「あはは、文代とは毎日顔を合わせているんだよ?伝えたい事があれば面と向かって言う性格だよ、文代は。」

文代さん、というのは先生の奥さんの名前だ。
僕が言うのもなんだけど、なかなかの美人で、かつ才女だ。そして先生が言うとおり、奥さんはどちらかと言えば活動的な性格で、想いをそっと手紙にしたためる、というタイプでは無さそうだ。

「でもそれって...アブなくありませんか?」

「危ない?どうしてだい?」

「だって、その、奥様以外の方からの手紙が、事務所においてあるなんて、あの、あれですよ...」

指摘してる僕の方がドギマギしてきた。
先生の方はむしろ余裕で、僕の表情を楽しんでいるように見える。

先生はネクタイを締める手を止めて、突然僕に顔を近づけ、謎の笑みを浮かべながら言った。

「誰からの手紙なのか...読んでみるかい?気になるだろう?」

「いや、でも、大人の男女のそう言う事は、僕みたいな第三者が首を突っ込むような事では無くて...」

先生はすっと顔を離し、低い声を出した。

「君なら秘密を守ってくれると信じて言っているんだけどな。いや、是非とも君には読んでおいて貰いたい。」

「そ、そんな...」

「これ以上とない恋文だよ。僕は一気に惚れたね。簡潔な内容で読み手を飽きさせず、自分をしっかりとアピールし、しかも相手に『この人に逢いたい』という気持ちを起こさせる最大の効果を上げている。恋愛の教科書に載せても良いぐらいだ。」

そう言われると好奇心の方が頭を持ち上げ、自制心を押さえつけていく。

「いいんですか?」

「もちろん。」

今の『いいんですか』は先生の夫婦仲がどうなっても知れませんよ、という気持ちも込められていたんだけれども、先生はそれを汲み取ってか汲み取らずか、簡単に請け合った。
えーい、ままよ!

「では、すみませんけど失礼して...」



僕はゆっくりとライトフライヤーのペーパーウェイトを横に除け、白い封書を手に取る。

汗ばむ指先でゆっくりと封書の口を開き、中の紙を取り出した。

クリスマスカードのような、硬い紙が二つ折りになって入っていた。

その、中のカードも真っ白い紙で、余計な装飾はまったく見られない。

こんなカードに、この理性的な先生が一気に惚れるような愛の言葉が書かれているのだろうか?

少し呼吸が乱れているのを自分で感じる。

指先の震えを先生に気取られないよう、注意しながら、二つ折りの紙を僕はそっと開いた。


その紙にはこう書かれていた。


来る12月24日 午後23時丁度

松波財閥総帥 松波次郎殿 所有の秘宝 『ディオネゲスの短剣』を頂戴に参上する

明智君、少年探偵団諸君の健闘を心より祈る
怪人二十面相

呆然とする僕の背中に、ネクタイを締め終えた先生が声をかけた。

「小林君、さあ、出かけよう!僕らも永遠の恋人とデートをする準備にとりかかるぞ!」

■□■□■□■□■□【トラバでボケましょうテンプレ】■□■□■□■□■□
【ルール】
参加:
 お題の記事に対してトラバしてボケて下さい。
 締切りは1つのお題に対し30トラバつく、もしくは10月31(金)夜中まで
 1つのお題に対しては1IDにつき1トラバ(1ネタ)とします。
 お題が変われば何度でも参加OKです。

チャンプ:
 お題を出した人が独断で審査しチャンプ(大賞)を決めます。
 チャンプになったら王様です。以下の特典と栄誉が行使できます。
  1.お題を出す
  2.言いたい放題な審査をする
  3.次のチャンプを決める
 何か困ったことがありましたら開催事務局までどうぞ。

企画終了条件:
 みんなが飽きるまで、もしくは開催事務局が終了宣言を告知した時です。

参加条件
 特になし!
 ※ 以下あれば尚可!!
 ブログをもっている。あるいはこれから作成する。
 トラックバック機能が使える。

 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。

 企画元     毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
 開催事務局  ボケトラの穴     http://trana88.exblog.jp/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
p.s.
いや、つい最近、読んでたもので...
怪人二十面相・伝 (小学館文庫 き 2-1)
北村 想 / / 小学館
ISBN : 4094083022
スコア選択: ※※※※
by jemini-web | 2008-10-25 01:13 | ▼ TrackBackIvent | Comments(14)
Commented by tana_suna at 2008-10-25 09:55
怪盗あっての名探偵ですものね^^
恋文を読むまでのやりとりが色っぽくてドキドキです。
Commented by e_vans at 2008-10-25 13:00
ご参加、ありがとうございます。

いえ、苦手だと言いつつ読者の気を引こうとするあたり、なかなかのやり手だと。
恋泥棒ということでひとつ。
Commented by ho_neko at 2008-10-26 04:44
ちょっとバテていたので、今更前回のトラボケ巡回を…といいつつ、今回の方に書き込み^^;
いやー、いーですねこれ。推理小説好きの私にはたまらないネタです。
怪盗と名探偵は相思相愛… なのでしょうか?それとも行き違いのカップル?(笑)
Commented by katuo0076 at 2008-10-26 14:54
いや、さすが、ぢぇみにさん。
これは、まさに、真理ですよ。
そして、
シャーロックホームズとアルセーヌルパン。
銭形警部とルパン三世。
コナンくんと怪盗キッド。
などと、あと3っ以上もの派生パターンも考えられそうで。
トラバボケでまた恋文のお題が出たときは、
余裕で対応できそうで、羨ましいかぎりです(何。
Commented by jemini-web at 2008-10-26 21:25
▽ たな さん:
> 怪盗あっての名探偵
特に明智探偵は二十面相にだいぶ養ってもらってますからねぇ。
彼の生涯、半分ぐらいは二十面相関連の仕事ではないかと。


▽ 文豪:
おつかれさまです~。
苦手というか、モテない人間にとっては拷問ですってば。

っつかエバさん、そっちのブログでサゲ割っちゃってる!!


▽ 放浪猫さん:
いえいえ、「トムトジェリー」カップルですよ。
「ローズ家の戦争」カップルかもしれませんけど、まあ似たようなモノということで。 (←そうかぁ?)


▽ カツオさん:
まあ、ホームズとルパンの対決は1冊だけですけどね。
他にもヤッターマンに対するドロンボー一味、サトシ&ピカチュウに対するロケット団、いくつでも量産出来ますよ~
Commented by bucmacoto at 2008-10-26 21:40
↑ するとシャーク団に対するロケット団のバージョンも可能ですね。
なるほど、悲恋(ロミオ&ジュリエット)の黄金律は、この法則に則ったというわけか。。。
明智君、さすがだ。 見事な解決方法だった。(ぁれ?
Commented by bucmacoto at 2008-10-26 21:42
↑ あ! プロペラから、一気にロケットに飛んじまった。(ジェット団でした w
Commented by jemini-web at 2008-10-26 23:16
▽ bucmacoto さん:
上海シャークス と ヒューストン・ロケッツ。
米中バスケットボール対決ですね!

...あー、ごめんなさい。偉そうに言ってますがスポーツ関連全く駄目なもんだはんで、Googleで急遽調べただけです。
個人的には上海と言えばカニです。はい。
Commented by yumi_si at 2008-10-27 05:08
先生のネクタイを締めたり緩めたりする姿を想像してときめいてしまいました。
男性のネクタイはとても好みですわ。

12/24の23:00「クリスマスの最後の時間を君と過ごしたい」という意味の、たしかにラブレターでしたわね。
Commented by jemini-web at 2008-10-27 20:21
▽ yumi_si さん:
ネクタイ好みですか...夏場のアレは私ゃ拷問具だと思いますが。
(↑、カジュアル通勤とは聞こえが良いけど、要はだらしのない服で普段働いてる人)

> 「クリスマスの最後の時間を君と過ごしたい」
プレゼントとして何かくれるのではなくて、盗られちゃうんですけどね (汗;
Commented by naritto at 2008-11-05 14:06
ああ、ボクは「2度目も活劇」だとばかり思っていました。
文才を如何なく発揮しているように感じました。これは素晴らしい。
Commented by jemini-web at 2008-11-06 00:14
▽ なりっと さん:
そして「3度目は正直」に続くワケですね (^ ^)
そして「如何」を「いかが?」と読んでしまった事はココだけの秘密です。はい。
Commented by gennons at 2008-11-06 11:09
これを恋文扱いにしてしまう先生の度量に惚れてしまいそうです。
あと恋泥棒って言おうとしましたが文豪に先を越されました。
Commented by jemini-web at 2008-11-08 00:01
▽ gennonsさん:
度量なのか、単に性格ねじ曲がってるのか、ちょっと判断に苦しむ気もします。
文豪に先を越されたのであれば、「こいどろぼう」の代わりに「こいのぼり」って言ってやれば五月を先取りできるような気もしますね。...また語呂が悪いなあ。すみません。

そうそう、優勝おめでとうございます~
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