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京都市美術館無双 -マグリット展編-

京都市美術館。

なんで「市立」なのにこんだけ豪華なんだ。
と言いたくなるほど新聞社やテレビ局主催の大型展覧会を何度も開いている、関西を代表する美術館。

なのですが、今年の夏の京都市美術館は殊更にえげつない。

と、書いてからまたちょっと間が空いてしまいましたが、京都市美術館。

6月16日~9月27日に開催のルーブル展に重ねて、7月11日~10月12日にこんなモノを重ねてきました。

マグリット展

美術展独占禁止法違反で訴えられても言い逃れが出来ないこのゴージャスさ。
なんというか、凶悪なことこの上ありません。

・・・・・

という事で、マグリット。

フルネームはルネ・マグリット。
ベルギー出身の画家で、シュルレアリスムの画家と言えばスペインのサルバドール・ダリとこのマグリットが両巨頭としてあげられるでしょう。
部屋に据えられた巨大なリンゴ、どう見てもパイプにしか見えないのに「これはパイプではない」とキャプションされた絵など、謎の多い、けれども観た者に深い印象を突き刺す独特の作風。
ゆえに彼はこう呼ばれる。

イメージの魔術師」。

そんな魔術師の軌跡を辿る展覧会に、ようこそ。

ってな感じ。

ではではいつもの如く何点かピックアップ。





心臓の代わりに薔薇を持つ女
心臓への一撃

「心臓の代わりに薔薇を持つ女」は一見マグリットらしくない、どちらかと言えばピカソのキュビズムっぽい色使いとタッチの作品。
とはいってもキュビズムの作品よりも曲線が多用されていて、マグリット独自の世界が生まれつつあったのかな、という感じ。
どんな絵かというと、顔を背けて部屋の中に佇む女性のヌード。
文字通り薔薇の花を手にしていて、それが胸元に来ている。
全体的に赤・ピンク系統の色使いで、ややキュビズムっぽく抽象化が進んでいて、でも女性らしい曲線は失われておらず、色っぽさがある感じですね。



28年後の作品、「心臓への一撃」。
進化してます。

いやまあ、同じ絵を描いた、というワケではないんだけど、同じ薔薇をモチーフとした作品。
地から茎を伸ばす一輪の薔薇。その枝の一本がナイフとなり、自らの花びらに葉を押し当てる。
タイトルが示す通り、この薔薇は心臓を表していて、つまりコレは心臓に自らナイフを突きつけている図なのだな。

それが意味するところは作者のみが知る。
若くして自ら命を絶ったマグリットの母への想いともとれるけど、マグリットの母は刃物は用いていなかったと言う事なので、多分違うんだろう。
それは、薔薇を疑似の心臓として刈り取る=擬死による魂の再生の予兆を示しているのかもしれない。
背景は曇り、暗澹たる絵ではあるんだけど、そこには「終わり」を感じなかった。
「薔薇の花はこうして落ちる。けれどもそれは薔薇の花であって、あなたではないのだよ」と。

透視

マグリット作品としてよく見る絵。そのいち。
ぼーっと見てると見逃してしまいそうになるんだけど、絵の中でキャンパスに向かう画家が描くのは羽ばたける、鳥。
では、その画家が何をモデルにそれを描いているのかというと...

そう、未来の透視。まさにマグリットの魔術師らしい所が現れた逸品。

写真はその時点での真実を撮す。
その写実性において、絵画は見劣りすることがあるかもしれない。
けれど、そのものの本質を描くと言う点で、絵画は圧倒しているのかもしれない。

オルメイヤーの阿房宮

オレンジの背景に どん と浮かび上がる気の切り株。
いや、これはチェスの駒でいうルーク、すなわち「塔」だろうか?

どちらともつかない、というよりも、切り株でも塔でもある物体の存在感はピカイチ。
意味や作意というものより、その存在感自体に圧倒される。

ピレネーの城

その「オルメイヤーの阿房宮」に輪をかけて存在感を感じさせるのが、「ピレネーの城」。

以前、姫路市立美術館所蔵の「現実の感覚」を紹介した記事があるんだけど、その「現実の感覚」同じく「飛んでる岩石シリーズ」。
いや、「飛んでる岩石シリーズ」とは言わないんだろうけど、巨大な岩石が「天空の城ラピュタ」の如く浮遊する、壮大な絵。
今回は「ピレネーの城」と「現実の感覚」が並んで展示されるという贅沢っぷりに、ただただ圧倒される。

いやはやなんとも。

光の帝国Ⅱ

シュルレアリスムのもう一方の雄、サルバドール・ダリと比べて、マグリットの作品は物静かな印象を受けるんだけど、そのなかでも最も静かで、しかもマグリット魔術の極みを見せるのが「光の帝国」シリーズ。
簡単に言えば、「街灯を灯し真夜中を示す手前の建物に対して、上に広がるのは真昼の青空」という、ただただそれだけが特徴の絵。

その昼と夜、天と地のシンプルな組み合わせが、何とも暗示的で詩的。

他の観客のみなさんの迷惑になってもいけないので、実際には無理なんだけど、何時間も見つめていたい、そんな作品だなあ。

ゴルコンダ

タイトルの「ゴルコンダ」自体は現在のインド ハイデラバードの城塞なんだそうで、これはまやかしだろう。
景色は、マグリットの住んだベルギーの、アパートメントの街並みなんだろうか。
その建物の周りに浮かぶ、たくさんの人・人・人。
しかもそれは天使でも妖精でもなく、山高帽をかぶりスーツに身を包んだおじさんばかり。

この「山高帽の男」マグリット作品を代表し、またマグリットをも示す存在なんだけど、それが大量発生するとはどういう事なんだろうか。
飛蝗か?
いや、さすがにイナゴではないんだろうけど、彼らは空から降ってきたのか、それともその空間に固定されているのか。
彼らはそこに立って何をしようというのか。
いやいや、その前に「彼ら」と言ったが本当にこの人物は複数なのか。マグリット本人、1人だけを示しているのではないか。
そして空中に立つ男と言えば「ジョジョの奇妙な冒険」の敵スタンド使い、サーレーやブラックモアを想起させるけれど、関係があるのか。

真剣な考えから冗談まで、ぐるぐるぐるぐる頭をかけ巡る。
そんな、不思議な絵。


おみやげ!
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好きだなー。マグリット。
思い返すだけでほくほくです。



Written by ぢぇみに

by jemini-web | 2015-08-18 00:32 | ▼ ぢぇみにコレクション | Comments(0)